魔除けの文様

日本にいる間にどうしも行きたかった展示がありました。

 

岩立フォークテキスタイルミュージアムの「インド北部の毛織物-ヒマラヤ山麓、山の民の巻衣装」、

そして文化学園服飾博物館の「AMULETS 魔除け 身にまとう祈るこころ」です。

どちらも民族衣装の美しさ、力強さの秘密を発見するような、心に残る展示でした。

「インド北部の毛織物」の展示は、ウールのもつ実用性、その多様性にハッとさせられました。

いかに長い間、羊と人間が共生してきたのか伺い知ることができます。

 

「AMULETS 魔除け 身にまとう祈るこころ」では、体の外と中を介在する存在としての衣服そのものが持つ力がテーマで、深く心に響きました。

衣服は寒さや暑さをしのぐだけでなく、身を護るもの。魔が入りやすい襟、袖などの開口部や目の届かない背後は、刺繍や模様が施されていることが多く、そこには魔を追い払い、平穏を祈る気持ちが込められているのだそうです。

赤や渦巻き、尖がった模様、貝や鏡など白く光るものなど多くのものが、魔を追い払う力があるものとして、様々な地域で共通認識としてあるのが面白いなぁと思いました。

本当に見に行くことができてよかったです。

 

ところで、先日見に行ったサンミゲルで展示されているサラペも、真ん中に模様があるデザインがほとんどです。

これは、サラペの真ん中にスリットが入っていて、そこから首を出してポンチョのように身に纏っていた、昔の名残です。

首を出すとちょうど首回りに模様がデザインされていて、装飾性はもちろんのこと、やはり魔除けの意味もあったのだろうな、と思います。

外と内をつなげるもの。身に纏う者への祈り。身を護るお守り。

見えないものが存在する世界で、布が本来持つ力、それに込められた願いや祈りに圧倒されます。

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