ブラジルとペルー

今年染めた色に Palo de Brasil(パロ・デ・ブラジル)とPalo de Peru(パロ・デ・ペルー)という染料があります。

どちらも Palo de Campeche ログウッドによく似ています。

この Palo de Brasil は蘇芳と訳されることが多いですが、奈良時代に日本に渡来し、染料として使われていたインド・マレー原産の蘇芳ではなく、メキシコ北部の砂漠地帯から南の熱帯地域まで広く生息するメキシコ原種のものと思われます。

とはいえ、両者ともにマメ科ジャケツイバラ亜科の植物で、心材が赤く、見た目や用途などはとても似ています。

Palo de Brasil はサンミゲルでも手に入るため、何度か染めたことがあります。いつもきれいなピンクや赤紫といった感じに染まりますが、今年は初めて鉄媒染で染めてみることにしました。

Palo de Brasil 蘇芳

写真の左が明礬で、右は鉄媒染で染まった色です。ひとつの木から、こんなにも異なる色が現れる不思議。

色って本当になんなんだろう。

 

そして、今年メキシコシティで、染めや織りの展示を見ていた時に、Palo de Peru という染料もあることを知りました。

そこで、早速ソノラ市場に行って入手してみました。

左がペルー、右がブラジル

これがどうみても、ペルーとブラジル、同じに見えます。

Palo de Brasil とPalo de Peru は同じものなのか、とお店のお兄さんに聞いてみると、違うものだとのこと。

でも、何が違うのか聞いてみてもモニョモニョ言っていて、よくわからない!

同じものでも地域によって呼ばれ方が違ったり、逆に違うものが同じ名前で呼ばれたり、ということはよくあること。

見た目そっくりだし、9割方同じものだろうと思い込みながら染めてみました。

果たして色は。

Palo de Peru ブラジルよりも赤みが強く染まりました!

 

Palo de Campeche

Palo de Brasil

Palo de Peru

 

どれもとてもよく似ていて、何が同じで何が違うのか知りたくて、いろいろ試してみたけれど、それぞれ違う色になりました。

それもそうか。

季節によって、あるいは温度、湿度、鮮度の変化、薪なのかガスなのか、など様々な条件で染まる色は変わってくると言いますし。

とにもかくにも、さらなる探求心を持って、より知識と経験を積み重ねていきたい、と思いました。

染色っておもしろい。

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