植物の葉や枝、根などはどれも美しい色を与えてくれますが、
やはり藍の青と蘇芳の赤は、その色の深さ、艶やかさが、他の染料とは一線を画していると思います。
蘇芳は Palo de brasil といって、メキシコでも染色に使われています。
薬草店などで手に入ります。お茶にいれたりして飲むと、リラックスでき、消化不良や胃の痛みなどにも効果があるようです。
染料としては、きれいなピンク、赤紫といった色に染まります。
メキシコでは、、インディゴ染料としては藍に代わって、コマツナギ属の Añil アニル という植物が使用されますが、ここグアナファトでは入手が難しく、今年は染めてみることが出来ませんでした。なので、今年は日本から持ってきた藍で青色を染めてみました。
藍染は不思議です。青は藍より出でて藍より青しという言葉そのままに、
藍染液は黄色のような感じなのに、液から出して、洗って広げて、空気にあてて乾かすと、みるみると色が黄色から、黄緑、黄緑から青緑、そして青へとなってゆくのです。
それは魔法を見ているというか、狐につままれたようなというか、なんだか不思議な感覚です。
やっぱり好きだー、藍の色。
染められるだけ染めてやろう!という意気込みでひたすら染めました。
以前他の染料で染めた糸にも重ね染めしました。
マリーゴールドの黄色に重ねた藍は、渋く、かっこよいオリーブグリーンになりました。
ミカンの皮で染めたやわらかなひよこみたいな黄色の糸は、意外にも深い青緑になりました。
そして先に染めた蘇芳の赤に、藍を重ねると・・・
驚きと興奮、感動の色が現れました。
なんという色を自然は与えてくれるのか。震えます。
藍も蘇芳も、日本では飛鳥時代、奈良時代から染料として使われていた記録があるそうです。
藍は世界中のあらゆる地域で、もっとも古い染料の一つとして使われているそうで、Añil も中米を原産地として、マヤの時代、あるいはそれ以前から知られていました。
驚き、感動、プラス知識と経験の蓄積、すなわち文化の豊かさ。
彩り豊かな、日本とメキシコの両方の文化に思いを馳せてみました。