メキシコでプレヒスパニック時代から使われているインディゴ染料、Añil(アニィル)を探しにミチョアカン州へ行ってきました。
Añil という染料は、オアハカ州などで使われているという話はよく聞きますが、今回ミチョアカン州へ探しに行ったのは、2000年前後にミチョアカン州で Añil が栽培されていた記録を記した一冊の本を持っていたことと、ただ単純にミチョアカンが大好きだからです。
これまでも本のうしろページにある連絡先に、電話してみたり、メールを送ってみたりしたものの、うまくコンタクトが取れなかったので、これは行くしかない!と、この一冊の本を頼りに、当ても伝手もないままに出発しました。
モレーリア、ウルアパン、パツクアロの民芸関係の博物館、織物関係の工房などを中心に、とにかくいろいろな人に会って、話して、聞いて、辿っていきました。
Añil の存在すら知らない人も多かったですし、モレーリアでもウルアパンでも、確かな情報はなく、ミチョアカンではもう生産している人はいないよ、という声も多かったです。
それでも、あの人なら知っているかも、ここならわかるかも、と次に繋がる先を探してくれたり、紹介してくれたり。
そして、またその先を訪ねて行って話を聞く、、、その繰り返しで、それは、ころころと点から点へと転がっていくような楽しさがありました。
人類学や民俗学の研究をしている人、現場の職人さん、工房の経営者、食堂やバスで一緒になった町の人々、民芸品を売る人々など、さまざまな立場の人たちとおしゃべりしたり、いろんな角度からお話を聞くことができたのは本当にわくわくする、得難い経験でした。
なんの前触れもなくやって来た一人の外国人に、とてもやさしく、親切に教えてくれるなんて、世界はこんなに優しかったっけと思ったり。
時々、大好きな民芸品を巡ったり、ミチョアカンの豊かな自然に触れたりして、そこからまた違う点と点に繋がっていったり。
不思議なタイミングとたくさんの優しさのおかげで、どこまでもころころと転がっていけるような気がしました。
そして、巡り巡って、パツクアロでは、ついにミチョアカンで Añil の生産している方と同じ村の人と知り合うことができました。
やっぱり!ミチョアカンで Añil は生産されていたのだ!やっぱり!やっぱり!
この旅のひとつの答えが手に入って、とても興奮しました。
果たして今年も生産しているのか、今年の収穫はあったのか、まだ余剰分が残っているのか、はたまた私に売りたいと思ってくれるのか・・・ということは、また別の話。
それでも転がって、巡り巡って、たどり着けた場所にはすごく満足しています。
写真は、パツクアロの博物館で所有していた Añil ひとかけら。いただいちゃいました。
この旅で、手に入れたもの。
メキシコの手仕事に関する、知らなかったことを知れた喜び。
ミチョアカン産の Añil を手に入れて、染められるかもしれないという期待。
人々の優しさのかたまりと、ひとかけらの Añil 。
実際に行って、見て、聞いてみないと分からなかったことがたくさんありました。
行ってみて本当によかったと思います。