ここ最近、民芸関係か織物関係の展示しか見てないなと思い、先日メキシコシティに行ったときに、「FEDERICO SILVA」展を見てきました。
全く前知識なく、看板をみて何となく入ってみたのですが、これが素晴らしく良かった。恥ずかしながら、Federico Silva という方自体存じ上げていなかったのですが、それが逆に良かったのかもしれない。なんかまっさらな気持ちで見ることができました。
Federico Silva(フェデリコ・シルヴァ)はメキシコの画家、彫刻家ですが、その作品を見る限り、いろいろなアイデア、テクニック、マテリアルを自由に行き来した人だなと。
1923年生まれ。メキシコ民芸がクローズアップされたり、ディエゴ・リベラなどの壁画運動が高まりを見せたり、アートとナショナリズムが結びついて盛り上がっていた時代。そういう時代の流れも感じさせる作品たちもありました。
メキシコを代表する壁画家シケイロスの影響を感じさせるアシスタント時代の絵画、戦後の政治色の強い雑誌の表紙デザイン、60年代から作り始めた彫刻、70年代以降の実験映画や版画、2000年を過ぎるとグラフィックデザインなど時代とともに新しいものを取り入れたりもしていて、生涯を通じて、すごい熱量の創作意欲がマグマのように溢れ続けた人なのだと思いました。
個人的には80年代以降に制作された、彫刻作品がとても好きでした。石や木、セメント、金属などいろいろな素材といろいろな図形が飄々と組み合わさって遊んでいて、楽しげでなんか面白い。ずっと見ていられる。
展示されていた中で、最も新しい作品は2022年作のシルバーの彫刻でした。2022年11月30日に亡くなられるまで、止むことのなかった創作に対する熱を浴び続けるような展示でした。享年99。そのエネルギーたるや。合掌。
Wikipedia によると、彼の作品が日本にもあるということなので(詳細不明)、いつか見に行ってみたいです。
メキシコシティの Museo del Palacio de Bellas Artes ベジャス・アルテス宮殿の美術館にて3月19日まで。