先日、たまたま剪定していたところに出くわして、ちょっと分けていただいたネナシカズラとコショウボクを使って染めてみました。
どちらもお店や市場で売っているような染料ではないので、剪定に出くわすというすごい幸運に小躍りして、気が付いたら声をかけていました。
ネナシカズラ属(Cuscuta)はつる性の寄生植物で、ここメキシコでは主にPirul(コショウボク)に寄生しているのを見かけます。
ネナシカズラはメキシコでは Zacatlaxcalli (サカトラスカッリ)と言って、ナワトル語の Zacatl(乾いた草)とtlaxcalli(トルティージャ)に由来するそうです。16世紀に書かれたフィレンツェ絵文書にも染料として紹介されており、スペイン人がやって来る前から黄色を染める染料として広く使われていたことが窺えます。
メキシコでは、ナワトル語由来のZacatlazcalli の他に、mata palo(木殺し)、fideo(ヌードル)、barbas de viejo(老人のひげ)などとも呼ばれていて面白い。確かbarbas de viejo(老人のひげ)は Heno(サルオガセモドキ)も同じように呼ばれていたと思う。(Heno についてのブログはこちら)
煮出してみたところ、早々に色が出てきました。渋めの茶色で、これはよく染まりそうだと期待に胸膨らんでましたが、実際は想像をはるかに超える色に染まりました。
左半分がネナシカズラで染めた糸。くちなしのような艶やかで華やかな黄色に染まりました。これには驚きました。
右半分、ほとんど近い色だけれど、少しだけレモンがかった色に染まったのはコショウボク。(以前書いたPirul(コショウボク)のブログはこちら)
ネナシカズラを染めているときにも、コショウボクを染めているときにも思ったのですが、煮出して出てくる染液の色と、実際に糸に入っていく色って全然違う。本当に色とはなんぞや。目に見えている色がその色そのものではないということに気づかされます。
コショウボクに寄生するネナシカズラはよりよい色を引き出すそうで、それはコショウボクにはタンニンが豊富に含まれているからだそうです。コショウボクと似た色に染まったのも何か関係があるのかも。絡まって、引っ付いて、同化する。寄生ってすごい。
ちなみに剪定されたコショウボクはだいぶスッキリしていたけれど、その隣にあったブーゲンビリアはまだまだネナシカズラに寄生されたままなので、通るたびにちらちらと眺めながら、また分けてもらえる機会をうかがいたいと思います(図々しい)。果たして、ブーゲンビリアに寄生したネナシカズラはまた違った色に染まるのかどうか、気になります!